令和3年度・高専からの大学編入【勉強法・スケジュール・参考書編】

 長らくお待たせしました。本ページでは、勉強法、スケジュール、編入試験に向けて使用した参考書等について紹介していきたいと思います。

 

目次

勉強法について

 勉強法を紹介する前に、まず勉強の主軸として置いていた科目について紹介します。

私が勉強の主軸として置いていた科目は数学・化学です。「物理は?」と思った人もいると思いますが、私は物理の問題を解くうえで重要なもののひとつである計算力を数学を通して予め身に着けておくことで、物理の勉強を行いやすくしようと考えました。そのため、主軸には置きませんでした。また、力学的な現象のイメージ力や理解力は多少持ち合わせていたので、これらの力を養うのは後に回しました。

 次に、勉強法(順番通り)を以下に示します。科目は関係なく、この勉強法を実行しました。人によって勉強法は様々だと思うので参考程度に見ていただけると幸いです(他の記事も同様)。

 

1.傾向把握・力試し

 5年分くらいの過去問を見ます。また、現在の力でどこまで解けるかの力試しを行います。私は5年分と書きましたが、過去問は多ければ多いほど良い判断材料になると思います。ただし、これらの作業はあくまで分析であるため、私は力試しの際には時間を測りませんでした。(※1)

 

2.弱点補強の順序決めと実行

 1で明らかになった弱点の補強を行います。補強の際は、まず弱点となっている単元に該当する参考書のページに付箋を貼ります(単元の始まりのページ)。その付箋に、弱点補強を行う順番及び期限を記載します。付箋に基づき、演習書を1周します。弱点でない単元の進め方は1でより多くの過去問を見て、単元ごとの問題の出題頻度を考えれて進めればよいと思います。

 

(1,2を繰り返し行います)

 

3.Excelで過去問進捗度確認表を作成

 過去問の進捗度確認表をExcelで作成します。一度終えたら、セルに○を入力します。部分的に過去問を解いた場合は、セルに回答していない部分「大問2」などと入力し、セルを黄色などで塗りつぶしておきます。疑問点がある場合も同様です。すべて解答した際に塗りつぶしをなくします。

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4.タイムアタックと周回

 遅くても、試験1,2か月前には過去問を試験時間内に解き終える練習を行います。この際、解答用紙は保管しておきましょう。解答用紙の保管にあたり、ノートよりもルーズリーフの使用をおすすめします。解答用紙には、大学名・科目名・年度を明記しておきましょう。試験直前はこの作業を2,3周行いました。

 

5.4.の作業に疲れた時には演習書

 4の作業はかなり疲れると思います。疲れた時には無理をせず、落ち着いて解くことができる演習書を解きます。

 

※1:化学に関しては私の専攻ではなかったため、1.の作業では化学系の学科の同級生にどの分野・単元の問題であるのかなどを相談しました。

例:有機化学のアルコールの単元、物理化学の熱の単元など

 

勉強のスケジュールについて

 <1日の勉強時間>

 平日の勉強時間・・・7時間程度

 休日の勉強時間・・・12時間程度

 テスト期間の勉強時間・・・3時間程度

 上の勉強時間を念頭に置きつつ、以下のスケジュールの紹介を見ていただけると幸いです。

 

 では、スケジュールについて紹介します。具体的にスケジュール表を作成したのは4年後期からです。また、スケジュールは最低限やる必要があると思ったものだけをある程度の猶予を設けて作成しました。スケジュールに従いたくなくなった時は、様々な参考書をぼちぼち解きました。(そういったものは下記スケジュールには含んでおりません。)

 

<スケジュール>

【2~4年前期までで行ったこと】

 ・徹底演習(重積分の単元を2周、行列の単元を1周)

 ・東工大の過去問(数学、物理、化学)を直近5年分分析、数学は実際に解いた

 ・フォローアップドリル(熱化学・反応速度・化学平衡)(2周)

 ・化学の読み物を読破(橋爪のゼロから劇的シリーズなど)

 ・速読英単語(2周)

 

【4年生 12月】

 ・熱力学(基礎物理学演習Ⅰの問、基本問題)

 ・有機化学概説(アルケン・アルキン~)

 ・徹底演習(極値判定、重積分の単元の残り)

 ・線形代数の基礎(線形空間の単元を読解、できれば演習まで)

 

【1月】

 ・例題と演習で学ぶ電磁気学(1章からできるところまで)

 ・線形代数の基礎と徹底演習(線形空間の単元の演習)

 ・徹底演習(微分積分の単元)

 ・単位が取れる量子化学ノート(ノートまとめと演習)

 ・授業でもらったプリントを使用した剛体の力学対策

 

【2月】

 ・例題と演習で学ぶ電磁気学(1月分の残り)

 ・セミナー化学(有機単元以外)

 ・徹底数学(複素関数以外の残り分、確率やれればやる)

 ・過去問(大学(志望大学内で)・教科を問わない)

 

【3月】

 ・例題と演習で学ぶ電磁気学(2月分の残り、なければ2周目)

 ・徹底演習(残り、なければ2周目)

 ・有機化学概説(残り)

 ・単位が取れる物理化学ノート(読解、演習)

 ・Nextstage(文法の単元を進める)+TOEIC対策(金フレ、TOEIC L&Rテスト 初めてでも...)

 ・東工大の英語

 

【4月】

 5年次からを新ルール適用。月のノルマと毎日欠かさず行うものを明確に決定。

・・・毎日欠かさず)

 ・:Nextstage(3月の残りを50問/dayとして文法まで、イディオム単元を赤シート使用で攻略)

 ・編入数学関係(複素関数線形代数、長岡の過去問(数学)×2年分)の中からいずれか1つ

 ・:速読英単語 5題目/day or 金フレ 200Words/day

 ・有機化学概説(残り)

 ・セミナー化学(3周目)

 ・専門の復習(電磁気学も含む)

 

【5月】

 ・長岡の過去問(必要に応じて補強を加えていく)

 ・東工大の過去問(〃)

 ・東北大の過去問(〃)

 ・4月分の残り(あった場合)

 ・:速読英単語 5題目/day or 金フレ 200Words/day

 

【6月以降】

 6月以降は過去問解いたり調整を適当にかけていった感じです。6月以降は以下のことをこなしました。最後らへんはだいぶ焦って我武者羅にやりました。

 ・有機化学演習(1周)

 ・橋爪のこれだけで合格!理論化学25題(1周ちょっと)

 ・橋爪のこれだけで合格!無機化学15題(2周)

 ・橋爪のこれだけで合格!有機化学25題(2周)

 ・リードα(音・光の単元)(2周)

 ・青チャート数Ⅱ+B(漸化式の単元)(ちょっとだけしかやってない)

 ・東工大の英語15カ年(大問5問)

使用した参考書及びレビュー

ここでは、私が編入試験対策に使用した参考書及びそのレビューを行っています。

ここ最近気づいたことがあったので、以下に注意点を記述しておきます。

注意:「これを使えば合格する」とは記述していません。あくまで下記内容はレビューであり、合う合わないは人それぞれあると思います。下記内容に関しておすすめをしている箇所もありますが、あくまでレビューとして記述しております。「定番」という言葉に関しても、私がいくつかの編入体験記及び在学中の周りの使用状況を個人的に見たうえでその言葉を使っているまでであります。

※批判コメントがあったわけではなく、これからの読者の皆さんに誤解が生じないよう注意喚起をさせていただきました。ご理解のほど宜しくお願い致します!

 

<数学対策で使用した参考書>

 ・大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)

 編入数学とはどのようなものなのかを知る上で使用しました。編入でよく使用されるのは、この本か聖文新社の「編入数学徹底研究」の2つでしょう。全体の難易度としては、やや難しめ。難しい問題はとことん難しい感じです。面白いことに、同じ高専でも学科によって人気な参考書は様々で、私の電気系の学科ではこの本を使っている人が多かったです。誤植がやや多いですが、そのような部分は先生に聞いたり、同級生と一緒に考えてみてください。最新の版を使用しましょう。

 

 ・編入数学過去問特訓:入試問題による徹底演習

 これは5年前期になってから少し使った感じです。自分が目指している大学の問題を見つけて解いていました。つまみ食いする感じで、全てをやったわけではありません。東北大学の増減極値問題や媒介変数の問題もあったので、旧帝大を目指す人は使った方がよいかもしれないです。東工大の問題もいくつか収録されていました。

 

 線形代数・講義と演習

 この本は全体をやるとオーバーワークになってしまうと思います(ジョルダン標準形などもあるため)。東北大学でだいぶ前に線形空間の問題があったため、その勉強をするために使用しました。

 

 線形代数の基礎

 この本は、高専の専門科目で使用していたものです。線形空間などの演習はこの本で行いました。全部はやってません。

 

 ・新微分積分2問題集

 この問題集は高専で使用していたものです。東工大の対策として、特に重積分の単元をやりこみました(STEP UPまで)。高専の問題集のSTEP UPでは編入問題がいくつか取り上げられています。暇な時に目を通してみるとよいでしょう。

 

 ・青チャート(数Ⅱ+B)

 東北大学の数学対策として、空間図形と漸化式の単元のみをかじる程度にやりました。早め早めにやっておくことをおすすめします...。私はかじる程度にしかできませんでした。

 

 ・漸化式の解法 頻出パターン徹底網羅30

 東北大学の数学対策に使用しました。解法が丁寧に記載されていて、わかりやすいです。

 

 ・数学重要問題集(理系)

 東北大学の数学対策として使用しました。媒介変数、微分積分の単元のみ学習しました。

 

<物理対策で使用した参考書>

(力学対策)

 ・基礎物理学演習Ⅰ

 この本は定番です。力学、熱力学の単元は例題及び基本問題までやりました。流体力学、波はやっていません。大学の物理問題(微積をつかった問題)に慣れるために使用しました。熱力学の単元は、東工大の対策で使用しました。

 

(光・波動対策)

 ・リードα(改訂版)

 東北大学の物理対策に使用しました。東北大学では光・波動が出る場合があるため、その単元の補強をこの問題集で行いました。基礎check、基本問題までやりました。

 

 ・物理重要問題集

 あまり使っていません。こんな問題があるんだな~っていう感じで、問題パターンの収集に使用しました。

 

(熱力学対策)

 ・波・光・熱 物理学 [分冊版]

 東工大の対策で使用しました。熱力学の基本的な問題が所々にあり、つまみ食いする形で使用しました。これだけでは足りないと思います。

 

 ・マセマ 熱力学

 証明系の話が多く感じたので、少し使って基礎物理学演習の方に切り替えてしまいました。時間をかけてしっかりと熱力学を対策したい人におすすめです。

 

電磁気学対策)

 ・例題と演習で学ぶ 電磁気学

 私としてはおすすめです。難易度は中程度~高といったところです。この演習書は例題を1周、演習問題を2周しました(電磁波の単元を除く)。長岡の対策から、東工大の対策まで幅広くカバーできる演習書だと思います。公式ホームページで詳細解答を見ることもできます。

 

 ・単位が取れる電磁気学ノート

 電磁気学初心者におすすめです。混乱したり、初心に帰りたい時におすすめな本です。

 

<化学対策で使用した参考書>

(無機・理論化学対策)

 セミナー化学基礎+化学

 私が使ったのは2017版のものです。東工大・東北大の化学対策に使用しました。これは3周しました(有機化学単元・応用問題は除く)。周回しやすいです。

 

 ・橋爪のこれだけで合格!無機化学15題

 東工大・東北大対策で使用しました。私は2周しました。たった15題ですが、要点がしっかりとまとまっており、問題一つ一つが程よい難易度でよいです。セミナーである程度基礎を固めてからやるとよいと思います。

 

 ・橋爪のこれだけで合格!理論化学25題

 東工大・東北大対策で使用しました。私は1周ちょっとやりました。一つ一つの問題は重めですが、実力は十分つくと思います。

 

 ・フォローアップドリル化学-熱化学・反応速度・化学平衡

 化学をどう攻略するべきか悩んでいた際にとりあえずやってみようと思ってやった参考書です。このドリルは薄いため周回しやすいです。レベルは初心向けです。

 

 ・化学重要問題集

 面白そうな問題をつまみ食いする形で使用しました。

 

 ・橋爪のゼロから劇的!にわかる無機・有機化学の授業

 読み物です。演習書ではありませんが、かなりやさしめに書かれているので初心者におすすめです。

 

 ・橋爪のゼロから劇的!にわかる理論化学の授業

 上と同じく読み物です。演習書ではありませんが、かなりやさしめに書かれているので初心者におすすめです。

 

有機化学対策)

 ・マクマリー有機化学概説(第6版)

 有機化学を学習する上でベースとなった参考書です。東工大の化学対策で使用しました。例題と小問、章末の基本問題(総合問題、薬箱の中からは除く)を1周しました。化学系じゃない人におすすめ。とりあえず1周するのとしないのとでは大きく差がつくと思います。最新刊の方が読みやすいかもしれないです。解答は別に存在しており、すべて英語です。

 

 有機化学演習-基本から大学院入試まで

 東工大の化学対策で使用しました。全体は難易度中~高程度ですが、あらゆる反応パターンを知る上ではかなり優秀な演習書だと思います。私はマクマリーを1周してからやりました。

 

 ・演習 有機化学

 論述系の問題に有効だと思います。最初の方を少しやって、あとは上の参考書に移行してしまいました。(東工大の化学対策で使用しました。)

 

 ・橋爪のこれだけで合格!有機化学25題

 東工大・東北大の化学対策(どちらかというと東北大)で使用しました。これは2周しました(高分子単元を除く)。編入のために高校範囲の有機化学を網羅するにはこれがおすすめです。高分子分野は東工大・東北大ともに出題されることは稀ですが、有機化学の大問の中の小問にある場合があります。軽く目を通しておいた方がよいかもしれません。

 

(物理化学対策)

 ・単位が取れる物理化学ノート

 初心者にぴったりな参考書だと思います。東工大・東北大の化学対策で使用しました。東工大はもとより、近年は東北大の化学でも大学範囲の分野(物理化学について)の出題傾向があるため、この参考書を用いて対策しました。

 

 ・単位が取れる量子化学ノート

 初心者向けの参考書です。東工大の化学対策に使用しました。東工大量子化学の問題は、近年難易度が比較的優しくなっている傾向にあるため、基礎が抑えられるこの参考書は有効だと思います。過去の問題(H26以前)は、この参考書だけでは厳しいと思います。

 

 ・バーロー 物理化学 下(第6版)

 下巻のみ読み物として使用しました。東工大の化学対策で使用しました。「単位が取れる量子化学ノート」でカバーできない量子化学の分野や化学平衡の分野(リンデマン・ヒンシェルウッド機構など)の補強用として活用しました。

 

 ・アトキンス 物理化学(上)

 上巻のみ読み物として使用しました。バーローより使用頻度は低め。個人的にはバーローより読みやすいと思いました。

 

<英語対策(TOEICも含む)で使用した参考書>

 東工大の英語15カ年

 6問分やりました。一つ一つが重かったうえに、終盤あたりで手を付けたのでこの程度しかできませんでした。ただ、少しであってもやるのとやらないのとでは、大きく差が出るように思えます。問題慣れするのにはよいでしょう。

 

 ・速読英単語(必修編)

 4、5周はしたと思います。単語学習というより、長文慣れするために使用しました。英文の内容も面白いものが多いため、楽しんで読めると思います。

 

 ・多読英語長文

 1周はできませんでした。内容がかなり思想的なものが多い感じで、速読英単語で扱っているトピックとは少々異なる感じです。読解力はつくと思います。

 

 ・NextStage

 文法の単元を1周しました。文法の単元はノートを使って、単語やイディオムの単元は赤シートを使って学習しました。

 

 ・金のフレーズ

 TOEIC対策はもとより、東工大の英語対策にも使用しました。(860点レベルまで)

 

 TOEIC L&Rテスト 初めてでも600点が取れる!

 TOEIC対策に使用しました。残念ながら600点は取れませんでしたが、前よりは実力が付いたと思います。

 

<専門対策>

長岡技科大の専門対策では、以下の参考書を使用しました。基本的には、高専で使っていた教科書を使用して学習するとよいと思います。

 

・詳解 電気回路演習(上)

 交流回路等の電気回路の基本計算がメインです。あらゆる法則・定理を使って電圧・電流を求めたりする問題や複雑な回路計算の演習にはもってこいの参考書です。ただ、私は問題パターン解析用の読み物として使用しました。

 

 ・詳解 電気回路演習(下)

 過渡現象の問題の演習にぴったりです。難しい問題もあるので、その場合は解法だけ目を通して理解できるようにすればよいと思います。

 

 ・電気回路1 直流・交流回路編

 電気回路の法則・定理系の基本的な問題が演習できるので良いと思います。誤植は少々。

 

 ・制御工学(第2版)

 専門の制御工学分野の対策に使用しました。今年は制御分野を出さないと書いていたのですが、電気回路で出してきました(回路方程式から代数方程式にする問題、そこから制御工学系の問題へ派生)。一応対策していたのであがくことはできました。来年はどうなることやら...。

 

 以上です。人によって合う、合わないは様々だと思うので、本屋に行った時などに見つけて試し読みできる場合はしてみてください。新品で買うと高いものもあるので、メルカリやハードオフを利用するとよいと思います。

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 「令和3年度・高専からの大学編入東京工業大学編】」を投稿しました。息抜き程度に読んでみてください。

 

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